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Channel: 建築をめぐる話・・・つくることの原点を考える    下山眞司        
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この国を・・・・34:不足

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原発事故は、風化し始めているように思えます。
咽喉もと過ぎれば熱さをわすれ、人の噂も75日・・・、
月日の過ぎ行くのをひたすら待っている人たち、一部のいわゆる経済人と政治家。

今朝の東京 web で見つけたコラム。
そのままコピーし転載させていただきます。
段落などを変え、そして、最後の一行、太字にさせていただきました。

筆洗 2012年10月27日

後藤貴子さん(50)が小学生になって初めて書いた詩は、たった三行だった。
  おかあさんはでぶです
  すこしやさしいです
  ときどきはらまちにつれていってくれます

後藤さんの母、門馬由利恵さん(75)は福島県の原町で育ち、隣町の小高で家庭を築いた。
患っていた認知症が一気に悪化したのは、原発事故で避難を強いられてからだ。
南相馬市小高区への一時帰宅が許された時、持ち帰ることが許されたのは、大きなごみ袋一枚分だけ。
母が持ち帰った物を見て、後藤さんは驚き、切なくなった。財布も服もない。入っていたのは、幼い娘が詩を綴(つづ)ったノートや、ちびた鉛筆…。
後藤さんは、四十年ぶりに母への思いを詩にした。
  渡されたゴミ袋一枚に
  母の優先順位はくるってる
  貴重品も大切にしてた着物も
  何も入れずに入らずに
  思い出さがすようなものばかり
  もう原町には行けないんだねえ
  何で認知症になったのかねえ
  なんで原発爆発したのかねえ
  母のひとりごと

原子力規制委が出した事故による放射能拡散予測を見て、慄然(りつぜん)とした人も多いだろう。
原発三十キロ圏内に住む人は四百六十万人以上。
政府と電力会社は、本当にその生活を守りきれるのか。
福島の事故では今も十五万人以上が避難生活を送る。
思い出と切り離されて生きるつらさ、むなしさ。
怖いのは電力不足より想像力の不足だ。


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