Quantcast
Channel: 建築をめぐる話・・・つくることの原点を考える    下山眞司        
Viewing all articles
Browse latest Browse all 514

この国を・・・・6:福島から

$
0
0
[註記追加 29日 7.05]

福島県いわき市にお住まいの方から、原発事故にともなう放射能汚染の下で暮す日常について、メールをいただきました。
報道の伝えることどもより、数等リアルでしたので、転載させていただきたい旨お願いしたところ、次のようなメッセージをいただきました。

   福島や東北のニュースでは切実な現実が多々放映されています。
   福島と同じ原発関連のニュースを全国に流してもらいたいと、いつも思っています。
   ブログを通して現実を伝えていただける事、有難うございます。
   数値の比較資料として、「広報 いわき 10月号」を添付致します。

   ここ2.3日、昼間は蒸し暑く、朝晩は冷え込むという
   気温差の激しい日が続いています。

   お変わりございませんか。

   先週、放射線測定器がやっと届き、
   昨日は家の内外の測定をしておりました。
   30ポイントを1分おきに5回測定し、平均を出して・・・。

   家の中は、0.13〜0.17μSv/hで、ロフト部分が一番高い数値でした。
   外は解放された雨樋部分が0.51とかなり高く、
   昨秋から落葉のある笹藪は0.37、
   屋根上の谷樋部(土と葉が溜まっている所)が0.31と高い数値が出ました。
   夏に一度薄く土をはいだ部分は0.18と他より少し低くなっていました。

   メディアで発表される庁舎、支所の測定は、
   アスファルトやコンクリート上での測定値のようです。
   一般住宅の土の庭は発表値より高い値のようです。

   放射線の影響を恐れ、いわきから避難する方も多いようです。

   我が家のある団地の下の通りには、仮設住宅が建設されました。
   小学校にも転校生が入ってきています。
   今、まちは震災後ザワザワしています。
   道路もお店も、混んでいます。

   復興と安全を声高に叫んでいるいわき市ですが、
   個人的には胸のつかえが全く取れれていない複雑な心情です。

   困ったものですが、子供のためにも、
   くじけるわけにはきませんよね!
   ・・・・・

このような日々が「日常」になってしまっている方がたが多数居られることを承知の上で(それとも承知していないのか・・)、「それでも原発のコストが一番安い」などというこの方がたの神経を逆なでするようなことが平然と行なわれています。
もう、原発事故など、過去のことにしたいのではないでしょうか。
タイの洪水について、日本企業の被災ばかり気にしているのと、根は同じ。
そうやって「繁栄する」《経済》とは、いったい何なのでしょう。

   註 同様の感想は、もう少し「詳しく」 「続々・素晴らしい論理」 で書いています。 [29日 7.05]

JVC:日本国際ボランティアセンターの会報 Trial and Error ?291の巻頭に(下の写真はその表紙です)、
谷山博史 氏(JVC代表理事)の論説が載っています。

その中から、一部、抜粋させていただきます。段落を変え、一部、太字にしてあります。
   ・・・・・
   JANIC(国際協力NGOセンター)が6月末に実施したという調査によると、
   福島で支援活動を行うNGO団体は、
   宮城県53%、岩手県32%に対して11%しかないそうだ。明らかに支援の偏りがある。
   それは、福島に関わるということは、
   原発事故と放射能の問題に否応なしに向き合わざるを得ないからではないだろうか。
   スタッフの健康への危険、原発事故を起こし被害を拡散させた東電や政府の責任、
   放射能を巡る住民間の分裂や支援団体の間の意見の相違、
   そして、原発の恩恵である電気に依存している私たち自身に向き合うということである。
   安易な関わりは禁物である。しかしJVCは関わり続けようとしている。 
   なぜか。
   JVCが人道支援に関わる際の基準のひとつに
   「日本社会との関わり。日本市民として責任がある場合」という文言がある。

   「日本市民の責任」とは、
   今回の原発事故という大惨事にあたっては、
   原発のリスクと原発被害そのものを地方に押し付け果実だけを享受してきた都市住民、
   「沈黙する大衆」である日本市民の責任、と置き換えることができる。
   東京をはじめとする都市型の社会は、経済活動の両端、つまり資源の採取・生産と廃棄を
   外部に押し付けることで成り立っている。
   それが、今回の事故で、原発や放射性廃棄物処理場の立地についても同様であることが
   改めて見えてきた。
   言い換えれば、これは、「問題の周辺化」、日本の地方や南の国への転嫁であって、
   JVCがこれまで取り組んできた諸外国での活動の背景にあるものと変らない。  
   この視点に基づいているからこそ、国内の出来事にもかかわらずスタッフから前述のような意見が出て、
   JVCは現実に取り組みを始めたのだ。

   では、どのように関わるのか。
   美しいプロジェクトを描くことなどとてもできない。
   私たちにできるのは、
   地域に関わりながら被災した人びとと共に悩み、
   人と人のつながり、コミュニティのきずなをつなぎなおすことを手伝うことである。
   自らも被災した「南相馬災害FM」(註 JVCの提案によって開局。表紙はそのスタディオの写真)のスタッフが、
   私にこう語った。
   「東京の人は『危ないから逃げろ』とか、『もっとなぜ怒らないのか』と外から言ってくる。
   なぜ、東京の人からそんなことを言われなければいけないのか。
   私たちは私たちでしゃんとしていたい。私たちがしゃんとしていられるような情報を、  
   このFM放送で流していきたい」と。
   このような人たちがいる限り、JVCも彼らが立ち上がるのを支えたいし、
   この問題が忘れ去られたり、あきらめられたりしないよう、
   彼らの思いを積極的に発信していきたい。 
   今回の事故をきっかけにして、
   この国が今後どのように変っていくのか、その変化の手がかりをつかみたい。

JVCについて詳しくご存じない方も居られるかもしれません。この会報の裏表紙を転載します。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 514

Trending Articles